アメリカ産食肉とホルモン剤乱用の弊害

■ホルモン剤は肥育の促進と肉質の向上の為に…

昨今のお肉は食べ物として本質的な大きな問題を抱え込んでいます。アメリカの肉牛生産工場フィードロットの牛たちは、ビタミン剤入りの濃厚飼料を食べさせられ、加えて抗生物質を打たれ、その上、さらにまた、ホルモン剤を投与されています。

動物一般に言えることですが、牛、特に雄の牛は成長するにしたがって筋肉が荒くなり肉質が硬くなり、食肉としての品質が落ちてきます。ホルモン剤は、それを防いで肉質を軟らかくするために使用されます。また、牛の性質をおとなしくして、肥育管理を楽にする目的もあります。

使用されているホルモンは剤はタンパク質同化ホルモンと言われ、栄養素からタンパク質の合成を促す作用があります。そのため適度の脂肪が蓄積した上質の肉ができ、また、体重の増加も早くなります。濃厚飼料と併用することで、肥育の促進と肉質の向上が一段とアップするのです。


■ホルモン剤は使い方を誤ると非常に危険

ホルモン剤は大きく分けて、天然型のものと合成型のものがあります。天然型は動物の体内で自然に作り出されるホルモンで、合成型は動物の内分泌腺を原料にして化学的に合成されるホルモンです。

フィードロッドで使われているのは主に、エストラジオール(卵胞ホルモン)、プロゲストロン(黄体ホルモン)、テストステロン及びこれらの合成型のゼラノール、トレンボロン、メレンゲステロールの六種類です。牛の耳側に直径5mmほどのバレット型のものを埋め込むのですが、約二、三ヶ月効果が持続すると言われます。

ホルモンは、血液の流れに乗って、体内の様々な組織や臓器に刺激を与え、情報を伝達する働きがあり、代謝や性機能など重要な生命活動のコントロールは、ホルモンを介して行われます。体内で作られるホルモンの量は極僅かで、微量であるが故に心身のバランスを良くしています。

それだけに、少しでも多くなったりすると、ホルモンの分泌機能そのものを混乱させ、組織や臓器が正常に働かなくなります。したがって、ホルモン剤の使い方を誤ると、生命活動に大変な影響を及ぼす危険性があるのです。

■ホルモン剤の多用の弊害

例えば、エラストジオールやプロゲステロンといった女性ホルモン剤を多用すると、女性は生理不順、子宮・卵巣障害、乳がんなどの婦人病にかかりやすくなります。また、男性の場合は、体毛が薄くなったり、性器が発育不全になるなど、体質や性格が女性化します。こうした異常は、既に多く報告されているのです。

フィードロットの牛たちは、生理作用に障害を引き起こす恐れのあるホルモン剤を常用されているのです。データが示されていないのでハッキリとは言えませんが、何かしら異常をきたしている牛がいるであろうことは容易に推測できます。牛の健康はともかくとして、最も心配なのは、ホルモン剤の人体に対する影響です。薬が牛の体内に残留したまま食肉なることはないのでしょうか?

■使用禁止されたホルモン剤が牛肉から見つかる

この不安に対してFDA(アメリカ食品医薬品局)は、「ホルモン剤は牛の生体内に残留、蓄積するものではなく、人体への影響はない」と、キッパリ言いますが、果たしてそうでしょうか?実は、FDAの発言内容を覆す事件が起こっているのです。

1,999年にスイスで、アメリカから輸入された牛肉から合成ホルモン剤のDES(ジエチルスティルペストロール)が検出されたのです。DESの残留が見つかったの牛肉の輸出元は、アメリカ国内のある大手食品メーカーで、幾つものフィードロットを持っています。

DESは、流産の予防薬として1,960年頃から妊婦さんに用いられてきましたが、常用していた母親の娘が思春期になると膣ガンを引き起こすなど発ガン性があることが解り、1,970年代初めに世界各国で使用禁止されたホルモン剤です。

それまで農家や農場で牛や羊などの家畜にも肥育用に投与されてましたが、同時にその使用も禁止されました。アメリカでは、何故か各国よりも数年遅れて、1,979年に使用が禁止されてます。その禁止されているはずのホルモン剤が牛肉から見つかったのです。

ということは、食品メーカーが法の目を盗んで密かに使っていたということであり、あまつさえ、薬がそのまま牛の体内に残留したのです。

これで、よく「問題ない」と言えるものですが、この禁止薬品使用の発覚に、アメリカ国民も怒りました。市民団体が政府の薬品管理の甘さを厳しく非難し、法的責任を求める抗議文書を農務省に送り付けるという一幕もありました。

■プエルトリコで発生した女児異常成熟事件

ホルモン剤の事件は、実は、1,985年にも起きています。プエルトリコで約3,000人の赤ん坊や女児に初潮が起こり、乳房が膨らむという異常成熟が発生しました。

調べたところ、子供たちすべてがアメリカ産牛肉を食べていたことが解り、その牛肉から、通常人体が分泌する十倍以上のエラストジオールが検出されたのです。この衝撃的なニュースは、世界各国に大きな波紋を広げました。


【出典】http://blog.livedoor.jp/tacodayo/archives/cat_202102.html

妊娠牛からの搾乳は70年ほど前から行なわれてきているため、70年前から先進国を中心に世界中の子どもたちが女性ホルモン含有量の多い牛乳を飲んでいると考えられる。

EU諸国は直ちに、ホルモン剤を投与したアメリカ産牛肉の輸入禁止処置をとりました。ところが、アメリカはこれを不満として、EU産の果物に対して100%の輸入関税を課すという経済制裁に及んだのです。アメリカとEUがホルモン剤の使用を巡って対立し、「ホルモン戦争」と呼ばれる深刻な事態にまで発展したのでした。ホルモン剤の使用は人体に影響はないと主張するアメリカ政府ですが、全く信用が出来ないのです。

■アメリカは「飼料添加剤」への使用規制が甚だ緩い

アメリカは、日本やEUより「飼料添加剤」への使用規制が甚だ緩くなっています。飼料への添加が許可された薬剤に対して、その用途や使用量は、飼料工場の裁量に任されています。つまり、薬剤の使用基準がハッキリしていないのです。そこには、飼料添加剤がアメリカの市場経済の一端を担っているという裏の事情があります。このような乱用状態の中で牛たちはホルモン剤を投与されている訳で、これでは薬が残留していない方がおかしいというものでしょう。

ヨーロッパは、畜産、肉牛生産のあり方が基本的に異なります。ヨーロッパにはアメリカのような数万頭規模のフィードロットは見当たりません。フィードロットはありますが、せいぜい数百頭単位で規模は非常に小さくなってます。牛たちは牧草で飼育され、ホルモン剤も使用されていません。

■良心的な農場経営者もいるが…

アメリカにも、一切ホルモン剤を使わないで牧草主体で育てている農場経営者はいます。何故ホルモン剤を使わないかと聞くと、「牛をなるべく自然な形で育てることによってこそ、牛肉だけにしかない本来の味が出るのだ」と口をそろえて答えます。

そして、こうも言います。「何の薬にしても無理に使ったら害が出る。牛が必要としない薬を使うことは、牛を駄目にするばかりでなく、その肉を口にする人間も駄目にしてしまうからだ」

現代の牛たちはフィードロットという大量生産工場で薬漬けで育てられているのであり、その工場は病気を撒き散らす、いわば『パンドラの箱』と言っても過言ではないでしょう。

【出典】肉食が地球を滅ぼす 中村 三郎著

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