5. ファスティング(断食)中のエネルギー源は何か?

① 代謝エネルギーを切り替える仕組み

水しか飲まないファスティングをした場合、エネルギー源は何処からくるのでしょうか?そのプロセスを解説すると次のようになります。

a. 第1ステップ|グリコーゲンの燃焼(解糖系)
ファスティングを始めると、まず体のメカニズムが一挙に切り替わります。最初に、肝臓に貯蔵されたグリコーゲン(グルコースの長連鎖)がグルコースに分解され、血液中に入りエネルギー源となります。

グリコーゲンの量には限りがあります。肝臓で精々100g、筋肉で250~400gしかありません。グリコーゲンのエネルギーは8~13時間で枯渇してしまいます。

b. 第2ステップ|タンパク質による糖新生(タンパク系)
略1日以内に肝臓のグルコースがなくなり枯渇すると、次にタンパク質のアミノ酸が糖の代わりとなってエネルギー源になります。これを「糖新生」と言います。タンパク質による糖新生は主に肝臓で、一部腎臓で行われますが、他の臓器では行われません。このエネルギーも長くは続きません。


c. 第3ステップ|ケトン体によるエネルギー(ミトコンドリア系)
体内にはタンパク質は大量にあるのに、何故糖新生が早く終わるかというと、生物はタンパク質の半分も消費するとすぐに死ぬからです。そこで、次に脂肪のエネルギーに切り替える機構があるのです。

タンパク質での糖新生が短時間に終わり、その直後(同時に)から脂肪酸からの糖新生に切り替わります。そのエネルギー源は「ケトン体」です。ケトン体は血液脳関門(BBB)を通るため脳のエネルギーとなります。

このケトン体のエネルギーは、脂肪細胞(中鎖脂肪酸)から出現するものです。それ故、ファスティングをしっかり実施すると、細胞便秘していた細胞(脂肪細胞、糖化物その他)は抜け落ち、その結果痩せていくのです。

② ファスティングでケトン体がエネルギー源になる

ファスティングを行うと、a(解糖系),b(タンパク系),c(ミトコンドリア系)の3つのエネルギー回路が動きますが、aの解糖系は2分子のATP(アデノシン3リン酸)しかつくりませんが、cのミトコンドリア系では38分子と19倍も多いのです。したがって、ファスティングはこのエネルギー回路を動かすことになり、大きなエネルギーを得ることが出来ます。

ファスティングを行うと、通常半日から1日でケトン体がエネルギー源になります。人間はケトン体によるエネルギー化で生きていけるのです。

しかも、このエネルギーの方が健康になります。水だけで1ヶ月も生きていけるのは、脂肪が燃えてケトン体がエネルギーとなっているからです。それ故脂肪太りしている人ほど、ファスティングのみで長く生きられることになるという訳です。

ファスティングならば理論上、3ヶ月半は生存できると言われていますが、一般的にはここまでやるのは危険であり、よくて1ヶ月でしょう。タンパク質や脂肪をファスティングで燃焼し尽くしたら人間はエネルギーが枯渇して死にます。それが最長3ヶ月半ということですが、その間、何も食べなくても生きていられるという仕組みがあることに驚きます。

ファスティングの目的は、a(解糖系) → b(タンパク系) → c(ミトコンドリア系) とエネルギー回路を回し、このケトン体によるエネルギー源を得ることにあります。これによって、体内に余分に蓄積された脂肪を燃焼させることが出来、生活習慣病を大きく改善することが出来るのです。

【出典】食物療法大全「食」による病気治しの考証 鶴見隆史著

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