6. ファスティング(断食)で産生される注目のエネルギー「ケトン体」

ファスティングで糖が使われた後、糖新生とケトン体によってエネルギーは得られますが、糖新生のエネルギーは極めて早く終了し、すぐにケトン体エネルギーで生きることになります。

ケトン体には次の三つがあります。

・アセト酢酸
・3-ヒドロキシ酪酸
・アセトン

この3つのケトン体の中でエネルギーになるのは「3-ヒドロキシ酪酸」のみです。ここから産生されるエネルギーはブドウ糖より遥かに大きく、ファスティングで1ヶ月以上生きられるのは3-ヒドロキシ酪酸のお蔭です。


① ファスティングがケトン体エネルギー産生をもたらす

ケトン体によるエネルギーは次のパターンの食事でもたらされます。

・ファスティング(水と塩のみ)
・糖質制限食(脂肪食または脂質+タンパク質)

ファスティングが驚くほど効果的なのは、やはり3-ヒドロキシ酪酸いよるところが大でしょう。3-ヒドロキシ酪酸は血液脳関門を通り、脳のエネルギーになるし、脳細胞を大幅に改善するため、記憶力が良くなったり頭の回転が良くなったり、脳の不定愁訴(めまい、頭痛、頭重、不快感)が取れたり、良いことずくめです。

脳波もそれ故改善されます。3-ヒドロキシ酪酸が脳に入るとα波が増えることは東北大学医学部の研究チームによって確認されています。α波はリラックスしているときに現われる脳波です。ちなみに緊張している時はβ波、イライラしている時はγ波、ノンレム睡眠の時はδ波、深いリラックスやレム睡眠時はθ波の脳波となります。

勿論、改善していくのは脳だけではありません。全身が良い方に改善していきます。ファスティング、あるいはハーフ・ファスティングは、時々は是非実施してみてほしいと思います。初めての時は不安もあるでしょうから、まず3日ぐらいから始めてみるといいでしょう。

ファスティングの最中、よほど肉体を使う仕事でない限り、エネルギー不足でダウンしてしまうなんてことは絶対にありません。空腹感は勿論ありますが、普通の仕事は何の苦痛もなく続けられるものです。そして、1週間~1ヶ月と徐々に増やしていけば、体内の脂肪が燃焼し、ケトン体をエネルギー源とした生命活動の状態になっていくのです。

② インスリン作用が正常であればケトン体の悪影響はない

一般に、糖尿病者はケトン体が極めて多く出現して、体の中は強酸性(ケトアシドーシス)となって早々に死に至るとされています。だからケトン体には悪いイメージがつきまとっていました。しかし、これはあくまで糖尿病性脳症の場合であって、インスリンが膵臓から正常に出ていれば悪影響は全くないことが分かっています。

脂肪酸と違ってケトン体は水溶性であり、特別な運搬用のタンパク質の助けがなくても肝臓からすべての臓器に運ばれます。もちろん脳にも入っていきます。ケトン体は細胞内で再びアセチル-CoAに戻され、TCA回路(呼吸の主要な代謝回路)で代謝されてエネルギー源となるのです。

③ 胎児は絨毛でつくられたケトン体を主なエネルギー源とする

新生児のケトン体を測定してみると、成人の基準値が76μmol/L以下に対して、全例100以上の高値なのは、意外ですが事実のようです。幼児でもケトン体値は300~400を示し高い値なのです。では、胎児は?となると、さらに高いと考えられます。

妊婦の血中の高コレステロールや中性脂肪が、絨毛という場所で脂質を積極的にケトン体に変換していることによるらしいのです。ケトン体が悪い物質ならば、胎児も幼児も生きられないことになります。しかし、決してそんなことはありません。

【出典】食物療法大全「食」による病気治しの考証 鶴見隆史著

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