牛乳飲むと骨粗鬆症になるメカニズム|何故骨密度が悪化するのか

1. 乳製品多飲多食の欧米人に多い骨粗鬆症

「牛乳を飲む人ほど却って骨粗鬆になる」ということが幾つも報告されています。アフリカのバンツー族は、一生の間に一度も牛乳を口にしませんが、骨はいたって丈夫で、誰一人骨粗鬆症にならないことで有名です。それに引き替え、欧米人は50歳ぐらいで骨粗鬆症になる人が多い。特にアメリカ人の骨粗鬆症の罹患率は大変なもので、すべての疾患にうち第一位が骨粗鬆症なのです。

欧米人の食生活の特徴の一つは、乳製品の多飲多食です。牛乳は一日に2本以上飲む人がザラで、バターやチーズもかなり食べます。にも拘わらず、牛乳を全く飲まないバンツー族とは比べものにならない程骨粗鬆症患者が多いのです。「牛乳にはカルシウムがたっぷり含まれている」のにです。

カルシウムがたっぷり含まれている牛乳を飲めば、骨はしっかり形成されそうだと思うのが普通ですが、現実にはカルシウム摂取が殆んどないバンツー族の方が遥かに骨がしっかり形成されています。このパラドックスの答えは何でしょうか?


2. カルシムが「入る量」より「出る量」が多い

答えは簡単です。「入る量」より「出る量」が多いからです。確かに牛乳にはカルシウムが多い。しかも結構イオン化しているから吸収も良いとされています。

ところが、1,992年に実に40年ぶりに「牛乳のカルシウム吸収率の比較試験」が国立公衆衛生院(現:国立保健医療科学院)公衆衛生室長・梶本雅俊氏を中心に行われました。その結果は「結論としては、カルシウム源を色々変えても吸収率はあまり変わらない」であったのです。ちなみに比較試験の結果は、カルシウムの吸収率は野菜19.2%、小魚32.9%、牛乳39.8%でした。

もし、吸収されたとしても、尿にカルシウムが吸収量より多く出たら、当然収支結果は合わなくなります。
それでも他の食物より遥かにカルシウムの吸収率が高い牛乳ですが、それがそのまま骨の形成に寄与しないのは次のようなことなのです。

牛乳に含まれるカゼインによって腸でアンモニアが産生されます。そのアンモニアは体内に吸収され尿素として排泄される過程で酸が作られます。その酸は強酸性なので中和しないと大変なことになります。そこで人体は体内で最もアルカリ性であるカルシウムを大量に骨から出し中和しようとします。

こうして牛乳のカルシウムは人体に吸収されたとしても、骨から出る量の方が遥かに多くなります。入れる量よりも出る量が多いとなると、当然カルシウム不足になって骨粗鬆症となるのです。

3. 動物性タンパク質を摂り過ぎると骨粗鬆になる

スイスのバーセル大学のグスタフ・フォン・ブンゲ氏は「動物性タンパク質を過剰に摂取すると骨粗鬆症になる」と言っています。

その理由は「動物性タンパク質を多く食べたとき、メチオニンやシステインといった含硫アミノ酸の千オール基が硫酸に代謝されるが、そのとき、血中は酸性になる。血液のpHが酸性化すると大変なことになるので(下手すると死を招く)、生体はホメオスタシスの第一として強アルカリ性のカルシウム基を骨から出させ中和させ危機を脱する。そのときに骨から出るカルシウムは吸収するカルシウムよりも遥かに多いため、骨粗鬆症が進行する」ということです。

つまり、「入る量と出る量のバランスが悪い」からです。牛乳やチーズからのカルシウム摂取は、出る量の方が多いということです。

人間にとって恒常性(ホメオスタシス)を保つことほど大切なことはありません。真っ先に行われる恒常性は血液のpHを中性化することです。

牛乳は確かにカルシウムが豊富に含まれまていす。そのカルシウムもイオン化(水に溶ける)しており、骨になる質の良いカルシウムです。しかし、牛乳は同時に、人間の骨の中にあるカルシウムを溶出させる物質が含まれています。つまり、カルシウムは入っていくが、それ以上に溶出されてしまうのです。したがって、牛乳を飲めば飲むほど骨粗鬆症がひどく進行してしまうのです。

4. 牛乳のカゼインが曲者

牛乳はどのようにして、人体の骨からカルシウムを溶出させていくのか?そこには「カゼインタンパク質」の存在があります。カゼインタンパク質は、牛乳に存在するタンパク質で、人間にとっては極めてフィットしにくい、人体の敵のようなタンパク質です(当然ですが牛にはフィットする)。

このタンパク質はニカワ状で、接着剤にも使われるほど物質をくっつける力が強いのです(商品名で有名なのは「ボンド」)。そんなものが腸に入ったらたまりません。腸はすぐに炎症を起こしてしまいます。赤ちゃんがミルク(牛乳原料)を飲むと、この炎症がより強く起こります。

特に生後半年以内にミルクを飲むとその現象は顕著です。その結果、ミルクで育てた赤ちゃんは小腸の絨毛が炎症を起こし、網の目のような孔が開いてしまいます。これが、いわゆる「リーキー・ガット症候群」です。リーキー・ガットの結果、アレルギー(アトピー、喘息、花粉症)やクローン氏病、副鼻腔炎、肥満……あらゆる難病・奇病に結び付くのです。

カゼインタンパク質は大人もそうですが、乳幼児は特にひどい炎症を起こす原因物質です。大人は大人で牛乳を多く飲むとやはり腸が荒れます。特に牛乳のカゼインタンパク質を分解する酵素を持っていない日本人はその傾向が強い。

5. アミン類による強酸性を中和するために骨からカルシウムが動員される

牛乳を飲むと、腸はよく腐敗現象を起こすのですが、腐敗菌が産生するアンモニア(アミン類)は腸に蔓延します。そのアミン類は血液・体液に吸収され全身の毒になりますが、問題は、このアミン類というアンモニア毒が強酸性であることです。

腸から吸収されたアミン類は血中に流れ、全身の細胞に行き渡ります。血中は酸性では致命的になるため、pH7.35ぐらい(中性)に正常化する目的で、アミン類が入ると同時にアルカリのミネラルが必要になります。アルカリ性にするのに最もよいのが(早くアルカリ性にするのが)カルシウムというミネラルなのです。恒常性を保つ第一位は血液の恒常性です。

カルシムは殆どが骨に存在しているため、アミン類が血中に入ると同時にどっと骨からカルシウムが溶けて血液に流入します。その量は、牛乳のカルシウムが体内に入って骨になる量よりも遥かに多い。したがって、牛乳を飲めば飲むほど骨粗鬆症が進行する訳です。

入る量よりも出る量が遥かに多いのは、カゼインタンパク質 → 血中酸性 → 骨からの脱灰(カルシウム血中流入) → 骨粗鬆症 というメカニズムです。

6. 高タンパク食で骨から出たカルシウムは出戻り禁止

骨組織からのカルシウムの出入りはかなり自由に行われています。食事でカルシウムが入ってくると骨になるし、また出たりします。しかし、高タンパク食で骨から出た場合は元には戻りません。出戻り禁止なのです。タンパク質は絶対的に必要な栄養素ですが、ちょっとでも多くなると大変なことになるのです。

アフリカのバンツー族は死ぬまで1滴も牛乳を飲みません。動物性食品を殆ど食べていないの開発途上国の人たちは野菜からカルシムを摂るしかありませんが、丈夫な骨を持ち、いつまでも骨粗鬆症にはならないのです。

【出典】食物療法大全「食」による病気治しの考証 鶴見隆史著

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